ある畳屋さんの社長とお話をする機会があった。

「現在の畳屋さんの業界は、
中国で作られた安いものが中心です。
建築業者も安いものしか使わないんです。」

とおっしゃっていた。

「新しいお客さまはどうやって集めているんですか？」

「ほとんど紹介か、付き合いのある建築業者さんからの
依頼ですね。」

畳屋さんの業界も、
何もしなければマーケットの縮小に伴い顧客は減り、
売上は減少する。これは避けられない事実だ。

作り手側が原料にこだわり、技術を磨いて、
良い製品をつくるだけでは売れない。
経営者は、それだけでは足りない。

マーケットは常に変化している。
現在の日本は高齢者マーケットを除いては
全て縮小していく運命である。

人口増の時代は、足算発想で良かったが、
人口減の局面に入った現在は引算をしつつ、
売上を確保しなければ生き残れない。

”何もしなければ沈んでいく”だけだ。

畳屋さんの売上も年、月で統計を取っていれば
その事実を確認するのは容易なことだろう。
おそらく、グラフを書けば事業の未来も予想できる
はずだ。

好むと好まざるに関わらず、
わたし達は構造の中で生きている。
先進国である日本、ヨーロッパ、アメリカや、
新興国であるBRICs諸国、
荒れる中東では生き方は全く異なる。

日本国内のマーケットで生きていくうえでは、
マーケットの構造を理解して対策を打たなければ
ならない。

経営者も勉強不足のアマチュアでは残念ながら、
遠からず退場を迫られることになってしまうだろう。

コンサルタントの職業柄、わたしとしては、
畳屋さんの社長に助け舟を出したいところだが、
本人が目の前にある事実と向き合わないことには、
はじまらない。

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