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イギリスのEU離脱について
2016年07月07日

自分の身体の中の状態は、他人が感じることはできない。
「頭が痛い」「お腹の調子が悪い」「動悸がする」
自分の体験と重ねて、他人の身体の異変に近づくことは
可能だが、状態そのものを感じるのは不可能だ。

経営コンサルタントは、そういう意味では医者の仕事に
似ている。
観察する。質問する。感じる。情報や経験から憶測する。
そうして実態に迫る。
それでも、会社の中で働く人達と同じ状態にはなれない。

イギリスのEU離脱の報道は、急な台風が起きたように
日本人の驚きと恐怖、不安を掻き立てる。
どちらかというと、EU離脱をイギリスの人々が誤って
選択してしまったかの如くの報道が多いように感じる。

最近ある新聞で、「巨大投資銀行」「ザ・原発所長」などの
ビジネス小説の作家である黒木亮さんが新聞にこの問題に
ついて寄稿した記事を読んで、今回のイギリスの人々の
離脱の選択の背景がやっと見えた。

黒木亮さんは、ロンドン在住28年。
この間のイギリスの変化をずっと内側から見てきた。
「離脱派が勝利した最大の理由は移民問題だ。」という。
それも中近東やアフリカからの移民ではなく、
ポーランド、ブルガリア、ルーマニアという東欧諸国の
移民だ。

EU加盟国の国民は、域内を自由に移動できる。
そのため所得の低い人々は、よりよい暮らしを求め、
国境を越えて移動する。
その移動先がドイツであり、イギリスだという。
その数毎年25万人。

イギリスは日本に比べても社会保障制度がかなり
手厚く。こうした移民にも失業手当、
「カウンシル・フラット」と呼ばれる格安の住居、
年金が支給される。

リーマンショック後の財政難もあり、大学の授業料は
引き上げられ、公務員は削減され、自治体サービスは
削られ、無料の国営医療制度であるNHSは
機能しなくなり、地下鉄料金はうなぎ上りである。

黒木さんの住む地域でも、
粗大ごみの回収は廃止され、NHSの病院は
がんや白内障のような重大な疾患でないと診察の
予約は取れず、税務署は返答に2、3ヶ月かかるように
なったという。

無制限に押し寄せる移民のために税金が使われ、
静かで治安もよい社会が変容することに強い憤りを
イギリスの社会の人々は感じていた。

こういう中で暮らす人々に対する離脱派のメッセージは
イギリスの人々の心を捉えた。

残留派のEUにいれば経済は強く、政治的発言力は増し、
テロ対策も効果的にでき、雇用も増え、物価も安定する
という主張は抽象的であり、ここ10年で暮らしが
よくなった実感がなくEUにいるメリットをあまり
感じられなかったイギリスの人々の胸には届かなかった
という。

イギリスの一員である。黒木さんの解説はとても腑に落ちる。

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